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決算整理は1年間の取引記録に基づいて、正確な経営成績や財政状態を把握するために行います。
取引記録の中には、その年の経費に計上するものではなく、翌年以降の経費とすべきものや、本来は収入に計上すべき取引がもれていることも考えられます。そのために決算整理事項の確認をします。
今回は、特に代表的な決算整理事項として、
@売上高と仕入高の確認
A売掛金と買掛金の確認
B棚卸表の作成
C家事用消費と事業用消費の計算
D家事関連費の整理
E減価償却費の計算
F前払経費と未払経費の整理
G事業外収支の整理               について解説します

売上高と仕入高の確認

 売上は商品を納入した日(販売日)、仕入は商品が納入された日(仕入日)に計上します。
例えば、年末に商品を掛けで販売した場合、売掛金が年内に入金されなくても、売上を計上します。

売掛金と買掛金の確認

 商品を掛けで売上げたり、仕入れた場合には、商品の販売日あるいは商品の仕入日に売掛金や買掛金を計上します。
例えば、年末に商品を掛けで仕入れた場合、その支払いが翌年でも、買掛金を計上します。

棚卸表の作成

 販売をするために仕入れた商品、製造した製品や製造途中の仕掛品、原材料が年末に在庫として残っている場合には、棚卸資産として計上します。12月31日現在での商品・製品などの棚卸資産がどれくらいあるのかを調べます。実際に在庫を調べることを実地棚卸といいます。棚卸資産の在庫を一覧表にまとめたものを棚卸表といいます。棚卸表は任意の様式でかまいません。
品名 数量 単価 金額 備考
10個 1,050円 10,500円
20個 2,100円 42,000円
50個 5,250円 262,500円
合計 577,500円

例)棚卸表
  ○○年12月31日

【棚卸表作成上の注意事項】
 単価とは商品の仕入単価のことです。単価を計算する方法はいくつかありますが、原則は最終仕入原価法です。最終仕入原価法とは、最後に仕入れた各商品のそれぞれの単価を棚卸時の単価とする方法です。
 また、商品の性質上、品質が低下して価値が減少しているものなどは、それらを考慮した適正な評価額(処分可能価格)を単価とします。

 期末の棚卸金額が確定したら,1年間の売上に対応する商品などの仕入価格を計算する作業に移ります。

【決算例題@】仕入勘定を使った売上原価の計算
●期末に実地棚卸を行った結果、【図表1】から期末棚卸高が577,500円あることを確認した。なお、期末棚卸高は1,797,000円、本年の仕入高は14,366,096円であった。

仕入勘定の借方と貸方の差額が売上原価になります。
*売上原価=期首棚卸高+本年の仕入高−期末棚卸高








(1)期首棚卸高の振り替え
  総勘定元帳の棚卸資産勘定に開始残高と記載されている金額1,797,000円が期首棚卸高です。この金額を棚卸資産勘定から仕入勘定に振り替えます(アの仕訳)。これにより、棚卸資産が減少し、仕入が増加します。

(2)期末棚卸高の振り替え
  期末棚卸高は577,500円です。この期末棚卸高を仕入勘定から棚卸資産勘定に振替えます。(イの仕訳)。これにより、仕入が減少し、棚卸資産が増加します。

家事用消費の計算
 家事用消費とは、お店の商品や製品などを事業とは関係ない家事用等で消費することを言います。具体的には、お店の商品を家庭での飲食のために消費したり、事業とは関係ない親族の中元・歳暮に使う場合などが該当します。
 家事用消費とは、代金を支払っていなくてもその代金を見積もって収入として計上します。収入に計上する代金は、原則としてその商品の通常の販売価格ですが、仕入価格で収入金額を計算しても差し支えありません。ただし、家事用消費として計上する金額は、通常の販売価格の70%を下回ることはできません。

【決算例題A】家事用消費の計算
1年間の家事用消費は150,000円であった。なお、家事用消費は決算時に一括して計上する。






家事関連費の整理
  例えば、店舗と住居が併用されている店舗併用住宅で、電気・ガス・水道のメーターが1つのときは、電気・ガス・水道料金を事業用に使った分と家事用に使った分に区分しなければなりません。このことを家事按分といいます。
  家事按分をすることによって、家計で負担すべき金額を事業の所得金額から除くことになります。
(1)家事按分の対象となるもの
  家事按分の対象になるのは、事業と家計に共通している経費です。具体的には、電気・ガス・水道料金・電話料金・地代家賃・固定資産税・減価償却費・自動車にかかる経費などです。

(2)家事按分の方法
  (ア)経費を計上するつど按分する方法
  (イ)毎回全額経費に計上し、決算の際に一括して按分する方法

(3)家事按分の目安
  家事按分はそれぞれの経費科目について、その使用割合を合理的に設定します。例えば電気料金は電灯数やワット数、使用時間、冷暖房機器の使用割合などを基準に設定します。

【決算例題C】家事関連費の按分計算
 1年間に252,000円の電話料金を支払った。このうち家事使用分が40%である。なお、電話料金は支払ったつど全額経費に計上し、決算の際に一括して按分している。






減価償却の計算
(1)減価償却とは
  事業に使う建物・機械装置・自動車・陳列棚・パソコン・プリンタなどのうち一定の金額以上で、使用可能期間が1年を超えるもの(減価償却資産という)は原則として、購入した年にその取得価格を全額経費にすることはできません。減価償却資産は、数年間に渡って事業用に使うことができます。また、使うことによってその価値が減少します。したがって、減価償却資産を経費に計上する場合には、その取得価格を使用可能期間(耐用年数)に応じて分割して経費に計上します。この分割して経費に計上することを減価償却といいます。また、その経費を減価償却費といいます。

(2)減価償却の計算方法
  減価償却の計算方法を解説する前に次の用語を理解して下さい。












前払経費と未払経費の整理
 前払経費とは、まだモノやサービスの提供を受けてないのに代金を先に支払っているもの、未払経費とは、すでにモノやサービスの提供を受けているのに代金の支払いが未だになされてないものが該当します。
 翌年以降の会計期間に係る保険料や地代家賃など支払った場合には、その部分の金額は支払った年の必要経費にはせず、前払保険料や前払家賃として処理します。ただし、前払経費で支払った日から1年以内にモノやサービスの提供を受けるときは、その支払金額を継続して支払った年の必要経費に計上することを条件にその年の必要経費に計上することができます。

事業外収支の整理
事業用として管理している現金や預貯金から、本来は家計から支払われるべきものが支出されている場合は、事業外の支出になりますので利益計算から除きます。事業外の支出には次のようなものがあります。
 所得税・個人住民税・国民健康保険料・介護保険料・国民年金保険料・小規模企業共済の掛け金などです。いずれも家計で負担するものばかりです。
 また、事業用の預貯金の利息や株式の配当であってもその利息・配当は、所得税法では利子所得・配当所得に分類されますので事業外の収入になります。事業用の減価償却資産を譲渡(売却)した場合も、所得税法ではその所得は譲渡所得に分類されますので事業外の収入になります。
 このような事業外収支は、事業主貸と事業主借勘定で整理し、利益計算から除きます。すでに解説した家事関連費の整理・家事消費の計上と同じ考え方です。


























    [借方]                    [貸方]
(ア)  仕    入 1,797,000円    /  棚卸資産 1,797,000円


(イ)  棚卸資産  577,500円     /  仕   入 577,500円
    [借方]              [貸方]
   事業主貸 150,000円  /  自家消費 150,000円
    [借方]                    [貸方]
  事業主貸  100,800円  /  通信費  100,800円
  ※252,000円×40%=100,800円
取得価格 減価償却資産の代金に付随費用を加えた金額を言います。
※付随費用とは、引取運賃・運送保険料・購入手数料などです。
耐用年数 その減価償却資産の使用可能期間をいいます。耐用年数は、減価償却資産の種類・用途ごとに法律で定められています。
※中古資産を購入した場合、通常は見積耐用年数を使用します
償却率 耐用年数と減価償却の計算方法によって、法律で定められた率をいいます。
償却可能限度額 減価償却をすることができる限度額のことをいいます。有形減価償却資産は原則として、帳簿価格が取得価格の5%に達するとそれ以上は減価償却できません。
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